Z-01-2 福島市在住・マンション管理士の体験談2
2011年08月26日寄稿
福島市在住マンション管理士
(インフラ停止)
震災当日の停電はその日の夜までにはほぼ復旧しましたが、逆に水道は深夜から使えなくなっていました。自分の飲み水は持参したのですが、マンションは受水層にまだ残りの水がある為断水にはなっていません。マンションの住民達によると、上の方の揺れは相当なもので生きた心地がしなかったと口々に話してくれます。ただし電気はすぐに使えるようになっていたので、一時の大騒ぎで済んだかのような案外のんびりした雰囲気でもあります。今は受水槽のおかげで水が出ているせいで、自分等もホントにまもなく水の苦労が始まることを未だ理解していないようです。直接話のできる住民の数は知れていますから、管理員に指示して、市内全域が断水であること、当マンションも受水槽がまもなく空になり断水になることをエレベ-タ-前に貼り出しました。こんな時は浴槽の残り湯だって捨てずにとっておけばトイレを流すのに活躍できますから、事前の情報は絶対に大切です。案外、市内の全域が断水であることは聞いていても、自分のマンションは出ているから大丈夫なんて安易に思っていたりするものです。その翌日からは受水槽内の残り分も使いきり、当マンションも等しく断水生活が始まりました。給水時間を待って指定の給水場所に並ぶ、持参の容器に水を満たして帰って来る、それを高層階のマンション自室に運び入れる、これが一日に数回の日課ですから、このために生きているような‥‥。これで停電が続いてエレベ-タ-が使えなかっとしたら、若者だって「もうマンションは嫌だ」と恨み節が出るでしょうし、老人では到底続かなかったでしょう。飲み水や調理に使う位の水の量は買っても貰うために並んでも調達可能ですし、フロや洗濯は少しは我慢していられますが、やはりトイレの流し水の不足が最大の問題になって来ます。
震災後3日目頃から地元の消防分団が河川からポンプで水を汲み上げて来て、詰所前で生活用水として配布しはじめました。断水はいつ解消するかわかりませんから、これは大変役に立ちます。マンションの住民もバケツやらゴミ入れまでとにかく沢山入るものを持ち出して何度も貰いに行っていました。これは実に気の利いた試みで本当に大助かりなのですが、高齢者にはやはり大変な仕事です。そこで、管理員に指示して、マンションのゴミ保管用で使っていない大型ポリバケツを台車に積んで、住民用にまとめて貰って来ることにしました。
消防団にマンション住民特に高齢者のために利用するものであることを説明して協力をお願いし、集合玄関前に設置したものです。当然約80世帯のニ-ズは大変なもので、断水が解消になるまで用水の補充が管理員の一番の仕事になりました。たとえマニュアルにはなくてもその場その時に何が必要か何が求められるかを考え、たとえ小さなことでも実行に移して行くことが大事なことです。








